象徴天皇制の起源―アメリカの心理戦「日本計画」
本書は、著者がアメリカ国立公文書館で発掘した、米OSS(戦略情報局)による1942年6月作成の機密文書「日本計画」の内容、作成過程、その背景を追跡したもの。本書タイトルは、このOSS文書中に「天皇を象徴として利用する」という文言があった事実に由来する。
最近出た”ジャパン・ハンドラーズ”と対をなす作品です。両方を読み比べると参考になります。”ジャパン・ハンドラーズ”は基本的には、仮説の提示という形式をとっていたわけですが、こちらのほうは、最近公開された米国の機密文書をベースとしているため、より実証的な作品となっています。しかしながら、この作品の中のOSSのテーゼは、アメリカなるものの恐ろしさをまざまざと伝えてくれます。進歩を求めるsocial engineeringのために動員される知的資源のスケールの巨大さとその背後の徹底した情熱は、日本人の想像を超えています。著者はこれを心理戦と呼んでいますが、これは今も世界中のメディアで繰り広げられている戦いです。そしてそこでの敗者が日本と旧ユーゴというわけです。2・26事件を革命と把握していたOSSの構想が、占領下の戦後日本では、コミンテルンのagent of influenceともいうべきニューデーラーたちにより、ラディカルな改変を一部の面でこうむり、戦後日本を決定づける取り返しのつかない悪乗りにつながった点は皮肉ともいうべき計算違いだったのかもしれません。このOSSのテーゼは、2・26事件を革命ととらえる点では、中川八洋氏の”近衛文麿とルーズヴェルト”と不思議にも共通します。ということになると、私たちが今その下で生きている日本とはいったい何なのでしょうか。いろいろ考えさせてくれる作品です。 |
このページの情報は 2006年6月23日0時31分 時点のものです。 |





