今森光彦フィールドノート 里山
最近、里山という言葉は流行っている。しかしながら、人の生活と深くかかわりあってきた里山の人々の暮らしと、置かれている現実をしっかりと捉えた本にはあまりお目にかかれない。この本は筆者の長い里山観察が、里山の生き物と、人々の暮らし、変わっていく里山の生活を正面からとらえている。里山のそばに暮らすものとして、どうしても残して生きたい里山。この本にはその思いが感じられて、思わず買ってしまった。美しい写真と、短いが心に響く文が印象的だ。効率第一主義の現代の日本にあって、一瞬の効率を求め将来に永遠の禍根を残すような生活を脱し、一定の非効率と効率のバランスが長年の人々の暮らしを支えてきた里山の知恵に学ぶところは多い。学ぶといっても、決してそこから効率を学ぶのではないということがわからない人には決してわからないだろうが。真に今、我々が学ばなければならないことがそこには沢山ある。開拓者として世界をどんどん食いつぶしていった文化とは異質の、島国という限られた、しかし、すこぶる豊かな自然と対峙してくらしてきたものの知恵に学ぶべきである。いまや、地球自体が広い島国なのだから。 |
このページの情報は 2006年6月23日0時32分 時点のものです。 |



