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大和古寺風物誌

大和古寺風物誌

人気ランキング : 123950位位
定価 : ¥ 420
販売元 : 新潮社
発売日 : 1953-04

価格 商品名 納期
¥ 420 大和古寺風物誌 通常24時間以内に発送
奈良を訪れるということ

 奈良を巡る際に持っていく本には三冊あると思う。一つは和辻哲郎の「古寺巡礼」、一つは堀辰雄の「大和路信濃路」、そうして最後の一つが本書である。
 「古寺巡礼」は古寺に取り付かれた若き哲学者が その情熱のほとばしるままに 日本の美をアジテートしている。堀辰雄は いつもながらの繊細な神経で 奈良を彷徨し 古寺と堀自身が次第に溶け合って なんとも言えない一編の抒情詩に仕立て上がっている。 そんな二冊と比較すると 本書はどこか陰鬱である点は否めない。
 解説に拠ると 敗戦に因る亀井自身の精神的危機を救ったのが 奈良であり 本書の執筆であったという。その解説が正しいとしたら 本書の持つ陰鬱さは 戦争責任を感じている一人の知識人の苦悩ということになるのだろうか。
 それにしても古寺たちは 様々な戦争、人間、苦悩を目の当たりにしてきたのだと ふと思う。自分たちを訪れる人々は時代によって変わり、その祈りや苦悩も 時代によって変わってきているのを見て なんと感じてきたのか。
 
 そんな風に思うと 自分自身が少し宗教的な感傷に包まれる。そもそも奈良は宗教的感傷が無くては成立しない異界でもあるのかもしれない。


このページの情報は
2006年6月23日0時32分
時点のものです。

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