戦国の武将は、言うまでも無く、戦場において生命を賭け、その持てる能力のすべてを発揮するリーダーである。一方、現代における人間の営みの中では、経営こそが、最も高度な創造性が求められる活動領域となっており、経営者には、多面的な創造性の発揮が必要な時代である。
著者は、中小企業診断士のベテランとして、多くの企業経営の盛衰を見てきた。大小の企業組織を率いる経営者という組織のトップに対し経営について助言を行うという立場から著者の眼は、時代を超えて変わらない人間や社会のあり様を適確に捉えている。その世間通の眼力と経営診断という視点で培われた冷静で論理的な思考から、清水宗治という郷土の歴史上の人物について後世、世間の通説となっている、清水宗治の毛利主家への忠誠心などを中心とした心象風景や、秀吉の水攻め戦略の真相など幾つかの事績や伝承について修正を提起している。また、これらの歴史上の事績に着目するだけでなく、当時の組織リーダーの宗教観、人間心理、死生感などにも触れることにより、興味深い読み物となっている。